石見神楽とは島根県西部(石見地方)に古くから伝わる伝統芸能で、その年の豊作や豊漁を祈願し神々に捧げる歌や踊りのことをいいます。
その昔、弟である須佐之男命(すさのおのみこと)の暴虐ぶりにお怒りになられた天照大御神(あまてらすおおみかみ)は天の岩戸にお隠れになってしまわれました。すると高天原は暗闇に包まれ、悪行を働く神まで出てきてしまいました。困り果てた多くの神々が天照大御神を誘い出すために、岩戸の前で踊りを見せたという神話が神楽の始まりだといわれています。
時の流れと共に移り変わり、石見人の気質にあった『勇壮で華麗な舞』として石見神楽は現在に引き継がれてきました。華やかな衣装や表情豊かな面を身につけた人々が太鼓や笛のお囃子に合わせ、30数種ある神話を題材として悠々と舞う姿は観る者を魅了します。お囃子には、テンポの速い八調子のものと遅い六調子のものがあり、石見神楽は八調子の代表的なものになっています。
現在では、体育館やホールなどで演じられることも多くなってきましたが、今でも秋祭りの時期に収穫を感謝してあちこちの神社の境内にある神楽殿で夜を徹して舞われる奉納神楽はなんと言っても地域の宝です。